不登校の中学生は進学できる?|高校受験の際に注意すべきこと

子育て・教育

中学生のお子さんが不登校になると、高校へ進学できるか心配になる親御さんもいらっしゃると思います。学力不足や出席日数が不足しているなど、家庭によって不安に感じていることはさまざまです。
ここでは中学校で不登校になっているお子さんが高校受験を受ける場合に、注意すべきポイントをご紹介していきます。

不登校の中学生は高校受験できる?

結論からお伝えすると、できます。面接を重視する学校や、個人的な事情を配慮してくれる学校など、不登校のお子さんに理解のある高校はあります。
高校は、全日制、定時制、通信制などがあり、お子さんの状況に合った通いやすい環境を選ぶことが大切です。

不登校のお子さんの進学先についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しているのでご確認ください。
▷不登校の中学生の卒業後は?|進学・就職の割合や具体的な進学先について

不登校の中学生が高校受験を目指す際に確認すること

調査書(内申書)について

高校受験には中学校から受験校への調査書の提出が必要です。
入試の合否について、学力と調査書(内申点)のどちらにどのくらい重点をおくかは学校によって異なります。
調査書の内容の比重が大きいこともあるので、調査書について知っておく必要があります。
まずは、調査書とはどんなものか以下にまとめました。

〇調査書(内申書)とは
調査書(内申書)とは、高校受験する生徒が「教科の成績や学校生活をどのように送っていたかについてまとめた文書」のことです。担任の先生が中心として作成します。
その中でも教科ごとの成績を点数化したものを「内申点」といいます。
教科ごとの成績以外にも、漢字検定や英語検定などの資格取得や、コンクール入賞、部活動についても記載されます。
調査書にはいくつか項目がありますが、とくに重要なものを紹介します。

①学習の記録
科目ごとの5段階の成績が記載されます。
地域によって3年生のみ成績が記載される場合や、全学年の成績が記載されることもあり、学校受験する高校の入試制度によってどの学年を評価するかは異なります。

②行動の記録
行動の記録では、以下のような項目が記載されます。
・部活動、ボランティア活動
・資格取得、検定試験など
・コンクール入賞
・その他

行動の記録についてどのくらい評価されるかは、地域や高校によって異なります。
学力試験の点数や成績(内申点)に重点を置く高校もあれば、ボランティア活動や検定などを評価してくれる高校もあります。行動実績の数が多いに越したことはありませんが、1つでも実績があれば面接の際に強みとしてアピールができます。

③出席日数
調査書には、出席日数(または欠席日数)が記載されます。不登校のお子さんが高校受験を目指すとき、出席日数はとくに注意が必要です。高校によって、出席日数が基準値を下回ってしまうと、不利になる場合があります。出席日数を重視する傾向がある高校は、欠席日数が多いお子さんだと難しいかもしれません。面接時に欠席の事情について説明すれば、不登校の生徒を配慮してくれる高校もあります。

学力や、志望校の試験方法を確認する

①学力を把握する
通信高校を除き、入学試験で筆記テストがある場合は、学力も大きく関わってきますので、お子さんの力量を把握しておく必要があります。不登校のお子さんだとの場合、学校での授業に参加できていない分、学力に対するへの心配もあるかと思います。とはいえ、筆記試験より面接を重視する高校もありますし、家庭教師や学習塾で学力を補うこともできます。

家庭教師は
・得意科目を伸ばす
・苦手教科の克服
・志望校出身の先生から教えてもらうことで、試験の出題傾向が詳しく知れる

といったメリットがあります。
また、インターネットを通じた通信教材を利用すれば、自宅学習ができ、家庭教師よりもコストを抑えることができます。
余談ですが、通信高校のなかでは、筆記試験をせず出願書類や面接のみで入学の合否を決める学校があります。筆記試験をしないぶん、面接時に子どものやる気や態度をみられることになります。

②高校の種類や、入試方法を把握する
高校には、全日制、定時制、通信制などがあります。
学力や面接、出席日数など、入学試験の合否について、どこを重視しているかは学校によって異なります。お子さんの状況に合わせた高校選びをすることはもちろん大事ですが、親御さんだけで決めるのではなく、本人の気持ちも汲み取って志望校を決めることが大切です。

高校の種類や特徴についてこちらの記事で解説しているので興味ある方はご確認ください。
▷不登校の中学生の卒業後は?|進学・就職の割合や具体的な進学先について

不登校でも出席扱いにできる方法や条件とは?

前述で、不登校のお子さんが高校受験を目指す場合、高校によって出席日数が基準値を下回ると、入試の合否に影響が出てしまう場合があるとお話しました。しかし、諦める必要はありません。
不登校でも出席扱いになる方法を把握し、対策しておきましょう。

不登校でも出席扱いになる方法

①保健室登校(別室登校)
登校はできるけど、「教室には入れない…」「授業には参加できない…」というような、不登校の段階が軽めのお子さんであれば、保健室等の別室で各教科の課題に取り組んで学習を進めれば、出席扱いになることがあります。多くの中学校は出席扱いにしていますが、中には出席を認めない中学校もあるので確認が必要です。

②適応相談室センター(教育支援センター)
中学校とは別の場所に設置されており、籍を置いている中学校と連携しながら学習を進められます。「中学校でなければなんとか通える…」というようなお子さんの状況とうまく調和できれば、適応相談室センターに通うことで出席扱いにできます。文部化科学省の取り組みであるため、学費等はかかりません。運営予算の関係で、自治体によっては設置できていない地域があるので、お住まいの地域に設置されてるか調べてみてください。

③フリースクール
民間が運営しているフリースクールへ通い、出席日数として扱ってもらえる場合があります。フリースクールは、運営会社によって特徴が異なり、お子さんの状況に合った支援を選択することができます。出席として認められるかどうかは、在籍している学校長の方針次第なので、事前に相談するとよいでしょう。

④自宅学習(出席扱い制度を利用する)
自宅学習でありながら出席扱いにしてもらう方法です。制度を利用される際は、在籍している中学校に事前に問い合わせる必要があります。まず、自宅学習で出席扱いにするにあたって、文部科学省が定めた条件は以下となります。

〇保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること。
〇ICT(コンピュータやインターネット、遠隔教育システムなど)や郵送、FAXなどを活用して提供される学習活動であること。
〇訪問等による対面指導が適切に行われることを前提とすること。
〇 対面指導は、学習支援や将来の自立に向けた支援などが定期的かつ継続的に行われるものであること。
〇学習活動は理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること。
〇校長が学習活動の状況について、対面指導に当たっている者から状況を十分に把握していること。
〇ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは、学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であること。
〇学習活動の成果を評価に反映する場合には、学校が把握した当該学習の計画や内容がその学校の教育課程に照らし適切と判断される場合であること。
参考:「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日

条件はいくつかありますが、定期的に学校の先生と連絡を取ることや、在籍している学校の学習指導方針に合った学習を進めることで、出席扱いを認めるという内容です。カウンセラー資格を持つ不登校専門の家庭教師であれば、お子さんの心に寄り添いながら、自宅で精神面と勉強面の両方をサポートできます。学校復帰へのサポートもしつつ、高校進学の受験対策も可能です。ただし、この制度の目的は、あくまで学校への復帰が前提です。

まとめ

さまざまな事情で中学校を不登校になっても、お子さんの状況に応じた高校進学を目指せることが分かりました。登校していれば、学校で友人や先生から進学に関する情報を得ることができます。しかし、不登校の場合だと得られる情報に限りがある為、親御さんが代わりに受験可能な高校の情報を収集し、高校選びをサポートする必要があります。ただし、親御さんの期待からハードルの高い選択肢を与えてしまうと、お子さんのプレッシャーになるので注意が必要です。進路を考える上で大切なのはお子さんの意思です。今後どうなっていきたいか、何から取り組むべきか、将来について家族で話し合い、少しずつ方向性を決めていきましょう。

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