帰国子女を持つ親御さま必見!帰国後の進学って?|公立・私立・インター校を解説

帰国生向け

保護者の都合(海外赴任など)により海外で生活し、その後日本へ帰国した子どもを「帰国子女」といいます。日本へ帰国後、基本的には子どもは日本の学校へ通うこととなります。
多くの場合、学年途中の編入になることが多いですが、タイミングが合えば「進学」となります。
こちらの記事では帰国子女(帰国生)の進学についてご紹介します。

帰国子女とは

帰国子女とはやむをえない事情によって海外で暮らし、その後日本に帰国した子どものことを指します。もともとは仕方なく海外で過ごし、帰国後の生活や教育に適応が難しい子どもを配慮するという意味合いが大きく含まれています。そのため、後述しますが、編入・進学にかかわらず「帰国子女枠」は海外滞在年数が〇年以上など学校独自で「帰国子女」の定義を定めており、滞在年数によっては「帰国子女枠」で進学ができない場合があります。

▷帰国子女の帰国後の進路とは?編入する?進学する?インターナショナルスクールの注意点とは

就学義務について

文科省によると「学校教育法第17条に規定された就学義務については国内に居住する日本国民に対して課されているものであり、(中略)日本国民である学齢児童生徒が帰国した場合、その時点からその保護者には就学義務がかかることとなり…」とあり、帰国時に子どもが義務教育を受ける年齢だった場合は、その年齢に見合った教育を受けさせなければなりません。

*参考:※文科省「7. 外国から帰国した学齢児童生徒の就学手続について」
しかし、特別な理由(日本語能力の問題等)がある場合は保護者や本人の同意のもと適応年齢より下の学級に編入することも可能です。

日本の学校への「編入」か「進学」かは帰国のタイミングによる

日本の学校へは「編入」となるか「進学」となるかはいつ帰国するのか「帰国のタイミング」と「子どもの年齢」によります。
日本へ帰国するタイミングが「4月」で「年齢が12歳または15歳」であればほとんどの場合『進学』となります。(インターナショナルスクールに進学する場合は、9月の場合もあります)

進学について

帰国子女(帰国生)の『進学』についてご紹介します。

【公立】

公立の中学校

子どもが中学生となるタイミングで私立学校やインターナショナルスクールを選ばないのであれば公立の中学校へ進学することになります。
日本の多くの子どもが通っているのが公立校で、日本で育ったほかの子どもと同じような環境の中で教育を受けることになります。
基本的には全国的には学区制が採用されているため、住む地域の学区の学校に通うことになります。(一部地域では好きな公立学校を選ぶこともできます。)公立中学校へ進学する場合は、入学試験などを受ける必要もなく進学することができます。
近年は帰国子女が安心して学校生活を送れるよう帰国子女向けに日本語教師を派遣したり、日本語教室を開くなどのサポートをしてくれる自治体もありますが、基本的には普通の生徒と同様に特別なサポートのない学校生活を送ることになります。
海外生活が短い場合や、日本の学校へ通っていた経験がある場合は比較的スムーズに進学しやすいかもしれません。
ただし「授業(教科)ごとに先生が変わる」「先輩への言葉遣い(敬語)」など、小学校との違いが出てくるため、事前にそうしたことを教えておく必要があります。
逆に海外での生活が長い場合や、日本の学校に馴染みがない場合は、学校に慣れるまで少し苦労するかもしれません。
学んでいる内容や、通学方法、給食や学校の係・委員会、授業中のマナーなど勉強以外の側面でも日本と海外の学校の違いで戸惑うことも多いかもしれません。
また、海外に住んでいたという経験だけで色眼鏡で見られたり、揶揄われたり、いじめにつながるというケースも考えられます。
今後、海外での生活を考えていない場合や英語力の維持が必要なければ公立の中学校への進学は問題ありませんが、公立の学校へ進学し、英語力を維持したい場合は語学教室に通わせたり、使用の機会を絶やさないようにしましょう。

公立高校に進学

公立高校に進学する場合は、地方自治体によって詳細が異なります。
帰国生の受け入れ実績が少ない自治体では、出願資格を満たし普通の一般生徒と同様に受験すれば進学できます。
一方、帰国子女の受け入れが多い自治体(都道府県)は受け入れ校が指定されている場合もあります。受け入れ校として指定されている学校は帰国子女へのサポートが期待できます。
帰国子女(帰国生)受け入れではない場合は、公立の中学同様に手厚いサポートは少ないことが多いです。後述しますが、受験については一般受験・帰国子女入試(帰国子女枠)などがあります。

【私立】

私立中学・高校に進学

私立中学校に進学する場合は、一般生徒と同様に受験をして進学しなければなりません。
私立学校は英語教育に力を入れていたり、国際的な人材を育てるなど教育方針がはっきりとしていることが多く、帰国子女の受け入れ体制が整っている学校もあり、帰国子女の帰国後の選択肢として人気が高いです。
そのため、公立校に比べて海外とのギャップをスムーズに埋められるような指導が期待できます。
通う場所によっては通学に時間がかかったり、地元で友達と遊びにくいということもあります。また費用面でも公立に比べると高額となるため経済面の考慮も必要です。
加えて、私立の学校は宗教団体が母体となっていることもあるので宗教を踏まえた検討が必要な場合もあります。

インターナショナルスクールに進学

インターナショナルに進学するという選択肢もあります。私立校へ入学するのと同様にインターナショナルも試験を受ける必要があります。
インターナショナルスクールは海外での経験や英語能力を豊かに育てやすい環境です。
英語での学校生活やネイティブな講師による授業、また海外出身の子どもや帰国子女の生徒が多いなど、日本にいながら英語圏の学校生活を送ることができます。また様々な生徒が多くいるので、異文化を認め合う校風の学校が多いです。
そのため、海外の現地校での生活が長かった場合は、日本の学校に通うよりも馴染みやすいです。
インターナショナルスクールは英語を学ぶ場所ではなく、「英語で教育を受ける場所」です。そのため学校内では英語を話すことができなければ入学することが難しく、保護者にも英語能力を求められます。
インターナショナルスクールの多くは学校教育法第1条に定められた学校ではないため、インターナショナルスクールで中学卒業にあたる学年を卒業しても義務教育を修了したとみなされなかったり、高校進学のため中学校卒業程度認定試験(中卒認定)が必要だったり、大学進学のために高等学校卒業程度認定試験資格がなければならなかったりすることもあります。

※学校教育法第1条

第一条 この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

受験について

公立の高校や私立学校・インターナショナルスクールに進学するためには先述の通り、入学試験に合格しなければなりません。受験する場合は『一般枠』『帰国子女(帰国生)枠』『日本人学校枠』で受験することになります。

一般枠

日本で育った子どもと同様に、通常の一般試験を受けて進学するというケースです。
一般枠は、帰国子女だからといった優遇装置はなく、他の子どもと同様の試験です。
希望の進学先に帰国子女枠がない場合や、海外での生活が短い場合や帰国して長い年月が過ぎており、帰国子女枠が利用できない場合などに取らざるを得ない場合の選択肢です。
一般の生徒と同じ枠なので試験のライバルは日本で受験勉強をしている生徒たちとなります。

帰国子女(帰国生)枠

帰国子女を受け入れている学校は、帰国子女枠(帰国生枠)が設けられていることがあります。ただし帰国子女(帰国生)枠には、「海外在住年数2年以上」や「帰国して2年以内」「通学時間1時間以内」などのほとんどの場合に条件があります。
条件に当てはまれば帰国子女にとってはおすすめの受験方法です。
受験方法は学校によって様々ですが、「英語」「小論文」「面接」が一般的で、加えてTOEFLなどの統一試験の成績を求められる場合もあります。また理系学部(学校)などの専門性が高い場合は、上記に加えて「数学」や「理系科目(理科・物理・化学など)」の試験も課されます。
受験の際には希望先の学校がどのような試験を実施しているかなどを事前に調べ対策をとる必要があります。
また学校によっては、海外在住だった場合でも海外の日本人学校に通っていた場合は帰国子女枠での受験ができないこともあります。

日本人学校枠

学校によっては帰国子女(帰国生)枠とは別に「日本人学校枠」を設けている学校もあります。日本人学校に通っていた場合は、「日本人学校枠」を設けている学校を探して見るのも良いかもしれません。試験内容は一般枠に近く、5教科ではなく3教科で受験が可能で、一般枠とは別に人数の枠が設けられているため合格ラインが低い傾向にあります。
海外在住していたが、帰国子女枠で受験できない場合に有効に利用したい枠です。

インターナショナルスクールに進学の試験

インターナショナルスクールの進学試験は「面接」だけのものや、英語、数学などの科目試験が必要なこともあります。保護者の面接がある場合や「両親のいずれかが外国籍」などの条件がある場合もあります。

早めの準備が大切

帰国が決まった後からイチから学校を探し始めることはバタバタとしてしまいがちです。
そのためいずれ帰国することが決まっているのであれば少しでも良いので学校を探し始めておくことが大切です。編入や進学に関わらず学校選びはしっかりと吟味することが必要です。こちらの記事で学校の選び方についてご紹介しますので合わせてご覧ください。

▷帰国子女を持つ親御さま必見!帰国後の進学って?|公立・私立・インター校を解説

まとめ

こちらの記事では、帰国子女の進学についてご紹介しました。
どんな学校に進学するかはどんな枠で受験するかなどの要因で決まりますが、子どもにとって最良な進学先はどこかを最優先して決めることが大切です。
帰国子女の進学についてはなかなか情報も少ないためサポートしてくれる企業や家庭教師などのサポートを受けることもおすすめです。

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