家庭教師といえば、家庭教師会社に依頼し先生を派遣してもらうという形が一般的でしたが、近年はインターネット・SNSが一般化しており、個人同士でやり取りを行い『個人契約』で家庭教師をお願いするご家庭も増えています。
「勉強を教えてくれる」という、受けられるサービスには ほとんど変わりありませんが、メリットや注意すべき点もあります。
こちらの記事では、個人契約の良さと家庭教師会社との比較についてご紹介します。
個人契約での家庭教師とは
家庭教師を依頼する場合、家庭教師会社に依頼し、家庭教師会社と契約し、先生を派遣してもらうことが一般的です。
一方、家庭教師の『個人契約』とは、家庭教師会社などの派遣会社(紹介会社)などを通さずにご家庭(生徒)と先生間で『直接』契約を行うことです。
そのため、ご家庭と先生の間に仲介者(家庭教師会社)がいないため、月々の仲介料(手数料)を支払う必要がなく、金銭的な負担が少ないという特徴があります。
ただし、仲介者がいないことによって注意すべきこともあります。
個人契約の家庭教師を見つけ方
家庭教師を個人契約で探す場合、自ら家庭教師をしている先生を見つけなければなりません。
親戚や知り合いに紹介してもらう、依頼する
『知り合いに紹介してもらう、または家庭教師をお願いする』という最も簡単で確実な方法です。
大学へ問い合わせる
主に大学生協や就職支援課などが、学生に対し家庭教師の斡旋を行っていることがあります。
インターネット上のマッチングサイト
インターネット上には、家庭教師個人契約のマッチングサイトがあり、希望の条件(学歴・出身大学・料金、勤務地、授業科目など)で先生を検索し、お互いに条件で納得できれば契約します。
マッチングサイトには主に3種類の形式があります。
掲示板型
掲示板形式になっており先生・生徒側が自身の情報を登録し、個人間でやり取りをします。
契約型(連絡先紹介型)
契約型は「契約仲介」に重きを置いたサービスです。面談の日時手配などのサポートを受けられます。また、連絡先だけが紹介される「連絡先紹介型」もあります。
システム型
システム型は『契約型』と同様のサービスを受けられますが、違いとしては契約後のサポートを受けられます。
個人契約探し方 | メリット | デメリット |
親戚や知り合いに紹介・依頼 | ・確実、安心感 ・身元の保証 ・コミュニケーションがとりやすい ・問題解決が図りやすい | ・緊張感や責任感が薄くなりがち ・教え方が上手いとは限らない ・受験経験、得意科目などをこだわって探しにくい |
大学へ問い合わせる | ・その大学に通う先生がくるため安心感がある ・トラブル時も大学へ連絡できる | その大学以外への進学を目指す場合、情報が足りない |
マッチングサイト | 希望の条件で自らで探すことができる | ・インターネット上のマッチングなので安心、安全面での不安がある ・信憑性のあるサイトを見分けるのが大変 ・トラブル発生時のサポートがない ・先生を変更する場合は再度手数料がかかることがある |
個人契約のメリット
個人契約のメリットについてご紹介します。
コストを抑えられる
家庭教師の個人契約の最大のメリットとして「コストを抑えられる」ことが挙げられます。
冒頭でご紹介した通り、会社を仲介しないため、仲介手数料や管理費、入会金、中間マージンなどを月々支払う必要がなく、支払うのは『授業料』と『交通費』のみであることがほとんどで、圧倒的に安く済むことが多いです。
個人間での契約なので、互いに納得した授業料に設定することができ、家庭教師会社を仲介するよりも安価に設定することができます。
先生を自ら選べる
個人契約の場合、ご家庭が先生に直接依頼することができるため、希望や条件に近い家庭教師を自ら選べるというメリットがあります。
先生を主体的に探すことができるため、どのような先生がくるのかわからない、という家庭教師依頼前の不安は払拭しやすいです。
柔軟性
個人間の契約なので、契約内容や授業の進め方なども柔軟です。
「テスト前は授業を増やしてほしい」「この日は予定があるから休みにしたい」「時間の変更をしたい」などイレギュラーな要望も、個人契約なら臨機応変に対応してもらえることも多いです。
また、個人契約の場合は、最短で即日きてもらえるというスピーディーさもあります。口約束での契約も可能なので「会社を通した手続きが面倒」だと感じる場合は、楽だと感じるかもしれません。
個人契約のデメリット
先生(教育)の質が保証されていない
個人契約の家庭教師で一番のデメリットとして挙げられるのが『教育の質』です。個人家庭教師の指導カリキュラムは、先生次第の内容となってしまいます。
依頼した方が『家庭教師として適しているかどうか』また『受験に関する情報量』や『指導ノウハウ』を持っているか、などの保証がありません。
人間的な部分の見極めが必要になる
自ら先生を選ぶため、ご家庭(生徒)と先生の相性もそうですが、もっと根本的な部分で「言葉遣いが綺麗」「遅刻をしない」「無断欠勤をしない」などの『マナー・常識』が備わっているかなど、人間的な部分の見極めも必要となります。
特に注意したいのが、インターネット上でマッチングした先生は、身元が保証されていないということです。
経歴(学歴)や指導実績を偽っている家庭教師や、子供へのセクハラやストーカーといったトラブルを起こしてしまう家庭教師も存在します。見知らぬ人に個人情報(住所・連絡先・名前)を教えるというリスクについては、しっかり頭に入れておく必要があります。
トラブル対応
個人契約は、家庭教師会社を仲介しない「直接」の契約なので、トラブルなどが発生した際も『自ら解決』させなければなりません。
例えば「突然の休み・遅刻が多い」「しっかり授業をしてくれない」「成績が伸びない」「相性が悪い」などの不満やトラブルが発生することもあります。
トラブルが発生した際には、時間・手間・ストレスなどのコストがかかることは避けられません。
その他
そのほかにも、先生変更時や代替の先生を見つける場合は再度コストがかかることや、先生との距離(仲の良さ)が近すぎることで、ビジネスライクな関係を保てないというデメリットなども考えられます。
個人契約の料金相場は?
個人契約を結ぶにあたり、マッチングサイトなどを利用する場合には「紹介料」が初期費用としてかかります。その後は先生に払う「授業料」と、必要であれば「交通費」「教材費」を加えた料金が、一般的な料金となります。
(紹介料)+授業料+(交通費)+(教材費)=個人契約の料金
紹介料の相場
マッチングサイトを利用して家庭教師を契約した場合、手数料が発生します。
手数料の相場は、おおよそ5,000円〜30,000円で、マッチングサイトによって様々です。実際にサイトを利用する際には、どういった料金がかかるかを事前に調べておきましょう。
授業料の相場
個人契約は、個人間の条件のすり合わせ「希望価格(言い値)」であるため、交渉によって値段は変わります。具体的な金額については後述します。
家庭教師会社とは
家庭教師会社とは、家庭教師を派遣する会社のことを指し、「家庭教師センター」とも呼ばれます。先生は、家庭教師会社と雇用契約(又は業務委託)を結び、ご家庭も家庭教師会社と契約を結ぶという『家庭教師の仲介役』となります。
家庭教師会社のメリット
先生(教育)の質が一定レベルに保たれている
家庭教師に登録されている先生は、家庭教師会社の面接や試験をくぐり抜けており、指導方法・マナーなどについても研修を受けているため、『教育(指導)の質が一定レベル以上』に保たれています。
また、ご家庭へ派遣される際も専門スタッフがヒアリングし、目的・目標にあった先生が派遣されます。
先生の質にばらつきがあると、家庭教師会社の信用失墜につながるため、家庭教師会社の先生の質はある程度保証されており、トラブルなどにも発展しずらいです。
また、家庭教師会社のHPには実績なども載っているので、自らの目的にあった指導を受けられるかなども事前に確認しやすいという安心感があります。
サポート体制やトラブル対応
家庭教師会社が仲介しているので、家庭教師会社からサポートを受けることができます。
先生を変更したい場合の『新しい先生を紹介』や、先生都合(病気など)での『代替の先生を紹介』など、多数の先生を抱えているからこそできるサポートもあります。
そのほかにも、先生へのクレームやお願いなど、直接には『言いづらいことを伝えてくれる』ことや、先生との間にトラブルが発生した場合にも、仲介役として『改善・解決』してくれます。
トラブル対応を含めたサポート体制は、家庭教師会社だからこそできるメリットです。
家庭教師会社のデメリット
金銭的な負担が大きい
一番のデメリットと感じるものは、『個人契約に比べると高額となること』です。
家庭教師会社もできるだけ低価格でサービスを提供していますが、充実したサービスを提供するために、仲介料や管理費・入会金などがどうしてもかかってしまいます。料金については後述します。
サポート体制は会社による
ほとんどの家庭教師会社はトラブル対応などのサポート体制が充実していますが、どの範囲までサポートしてくれるのかは会社によって異なります。そのため、どの程度サポートをしてくれるのかは事前に下調べしておくことも大切です。
▷家庭教師を依頼するメリットとは?|マンツーマン・学習習慣・時間の融通など
個人家庭教師と家庭教師会社の比較
個人契約と家庭教師会社の比較についてご紹介します。
料金
先述の通り、一般的には個人契約の方が安いです。ただし、家庭教師会社の料金の中にはサポート料が含まれるため、料金だけで良し悪しを判断することは難しいです。
また、個人契約の料金はお互いの条件のすり合わせ(希望値)となるので、料金がハッキリとしていない反面、家庭教師会社は料金が明確となっていることが多いです。
※家庭教師会社の場合は、下記に加えて、教材費や入会費などの費用もかかることが多いです。
受験の有無 | 個人契約 | 家庭教師会社 | |
小学校 | (受験なし)1時間あたり | 1,500円〜2,000円 | 3,000円〜6,000円 |
(受験あり)1時間あたり | 2,000円〜4,000円 | 3,500円〜6,500円 | |
中学校 | (受験なし)1時間あたり | 2,000円〜3,000円 | 3,500円〜6,500円 |
(受験あり)1時間あたり | 2,500円〜4,000円 | 4,000円〜7,000円 | |
高校 | (受験なし)1時間あたり | 2,500円〜4,000円 | 4,500円〜7,500円 |
(受験あり)1時間あたり | 3,000円〜5,000円 | 5,000円〜8,000円 |
先生の質(教育の質)
家庭教師会社は、面接や試験を実施し、家庭教師を採用し、研修を行うことがほとんどなのでマナーや指導の質、実績もある程度保証されています。
そのため、個人家庭教師と比べると、安心した教育(指導)を受けさせやすいです。
一方、個人契約の場合は、先生の能力や教育の質などの第三者目線での保証がないため、学生証や合格証など実績・証拠を確認させてもらうなどの対策・アクションも必要となります。
指導の安定性
先生を変更したい場合や、急な先生が指導を継続できなくなった場合を考えると、家庭教師会社であれば迅速に代替の先生を紹介してくれるため、指導の安定性はあります。
一方、個人契約の場合は自分でイチから見つけなければなりません。また、代替の先生が見つからない場合は教育(指導)のペースが途切れるリスクがあります。
安心感
日々のサポートやトラブル時の対応などは、家庭教師会社が充実しています。契約書も結ぶので一定の安心感があり、クレームや要望などにも対応してくれます。
個人契約では契約書を作成しない場合も多いため、トラブル発生時は自己解決・直接交渉をしなければなりません。ビジネスライクに交渉することができる関係性であれば問題ありません。
指導の柔軟性
発達障害や学習障害を持つお子様や、不登校などのある事情をもつお子様を対象とする場合、指導にある一定の配慮が必要となる場合があります。
家庭教師会社によっては、そういった配慮が必要なお子様が安心して指導を受けられるような家庭教師を派遣してくれたり、サポート・対応を行ってくれる会社もあります。
個人契約の場合は、個人の能力に依存するため、柔軟性に欠けた指導を行ってしまう可能性や、根気強く先生が見つけなければならないケースもあります。
タイプ別のおすすめ
個人契約の家庭教師
『とにかく料金を抑えたい』『サポートが必要ない』というご家庭には、個人契約がおすすめです。
個人契約の最大のメリットは『料金が安い』ということです。その引き換えに『教育(先生)の質』『サポートを受けられないこと』など、あらゆる側面で『自己責任』となります。
個人の家庭教師は、どうしても受験や教育の情報量・質が限られてくるので、受験を考えている場合にはおすすめできません。一方、「机に向かう時間を増やしたい」「学校授業のフォローアップ」など『学習習慣を身に着けさせる』という目的であればおすすめできます。
身近に安心して家庭教師を依頼できる方や相性の良い先生を見つけられるのであれば、おすすめできます。
家庭教師会社
『確実に安定・安心した教育(指導)を受けさせたい』という方には、家庭教師会社がおすすめです。
家庭教師会社のメリットは『サポート体制・トラブル対応を受けられる』『教育(指導)が安定・安心できる』です。先生の選考や研修、教育に対するデータ量や指導ノウハウなど、あらゆる面で個人契約の家庭教師とは圧倒的に差があり、「教育(指導)の質」を担保してくれます。
加えて、トラブル時の対応などの面倒事についても一挙に引き受けてくれるというサポート体制が充実しているため、安定した教育(指導)を受けさせることができます。
特に、受験をする場合は「受験校データ」「安定して授業を受けられること(継続して勉強をすること)」が大切です。『受験勉強を目的としている』または、『一定の水準以上の教育水準で指導を受けたい』『家庭教師での厄介事を極力減らし、スムーズに安心して教育を受け続けたい』という方には特におすすめです。
おすすめ | おすすめできない | |
個人契約 | ・とにかく料金を抑えたい ・トラブル解決、対応に自信がある(サポートが必要ない) ・受験を目的としていない ・安心して家庭教師を任せられる人を知っている | ・教育(指導)内容に一定の質を求める ・トラブル時などの対応に自信がない ・サポートを受けたい ・受験を目的としている |
家庭教師会社 | ・安心、安定した教育(指導)を受けさせたい ・トラブルやその対応を減らしたい ・一定水準以上の教育を受けさせたい ・受験を目的としている | ・料金を抑えたい ・家庭教師を知り合いに頼みたい |
まとめ
ここまで、個人契約の家庭教師と家庭教師会社についてご紹介してきました。
料金だけで考えることなく、長期的にみて最良の結果になるのはどういう選択かを意識することが大切かもしれません。
値段とサービス内容を経済事情と相談して決めていきましょう。
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