「小論文が苦手」という生徒さんは意外と多いもの。
では、小論文のどこが一番とっつきにくいと感じているのでしょうか。
ほとんどの方が挙げるのは「書き方」です。
たとえばある小論文の問題に対し、口頭であれば自分の意見や立場、その理由付けを答えることはできます。ですが、いざ文章にしていこうとすると、書けないのです。
なぜ書けないのか? 答えはひとつ。そもそも論文というものを読んだことがないからです。そんな高校生がいきなり小論文を書けといわれても、何をどうすればいいのかわからなくて当然ですね。
では、書けるようになるにはどうすればよいでしょうか。もっとも効果が高いのは、小論文の模範解答をじっくり読み込むことです。とはいえ、少々時間がかかるのが難点。
そこで今回は、小論文が苦手な生徒さんにもすぐにできる、簡単な書き方を説明していきます。
小論文の基本的な流れを知ればすらすら書ける!
ではさっそく、「制度やある事象に対する是非を問う問題」に関する小論文の書き方にチャレンジしてみましょう。
今回は、ごく身近な例として「原子力発電を廃止することの是非について述べよ」という問題をとりあげてみます。
(1)まずは「賛成」「反対」など自分の立場を明確に
問われているのは「是非」ですので、始めに自らの立場を明確にします。「賛成」「反対」のいずれかを選択してください(部分的に賛成などの場合もあるが今回は省略)。
文頭の導入部分には、まず自分がどちらの立場であるのかを書いていきます。
今回は、解答例として、「賛成」(原発廃止)の立場ですすめます。書き出しからはっきりと、 「私は原発を廃止することに賛成である」との意見を表明しましょう。
(2)「確かに~である」・・・自分と反対の立場が主張するメリットを認める
自分の立場を明確にしたら、次に自分とは反対の立場におけるメリット、利益を書きます。例題ならば「確かに、原発はコストの面で有利である」「環境保護の面でも、温室効果ガスを出さない利点がある」などと続けます。
是非が生じる問題には、かならず双方にメリット・デメリットが存在します。そもそも、このような議論において一方が100%正しいといった状況はありえません。ですから「反対の立場に配慮する姿勢を見せる」ことは大切です。
自分の主張が正しいと考え、意見を述べることは必要ですが、だからといって反対の立場の主張内容を切り捨てず、考慮することが、真の問題解決につながるのです。
(3)「しかし~である」・・・反対の立場のデメリット→自分の立場のメリット→反対の立場への配慮
反対の立場がもつメリットをひととおり挙げたら、次にデメリットを書いていきます。例題の場合なら、「しかし、原発事故は一度でも起こると取り返しのつかない大惨事になりうる」「だが、放射性廃棄物の処理については未解決である」などと続け、そのうえで自分が「原発廃止賛成」の立場を主張する理由・メリットを書きます。
さらに、「反対の立場が主張する利益」に対し、その利益を自分の立場においても実現できることを示すなど、ここでも相手に配慮する姿勢を見せていきます。
例えば、「原発を廃止する一方で、地熱発電や風力発電などを推進すれば温室効果ガスを抑制できる」「それら地熱・風力、あるいは太陽光発電等の自然エネルギーを積極的に採用し効率化すれば、コスト面の問題も解消されると考える」といったことが書ければ、ぐんと説得力が増します。
(4)「したがって~である」・・・結論を出して締める
最後の締めとして、自分の立場を述べます。「したがって、私は原子力発電を廃止することに賛成である」と結論して終了となります。
内容の濃い「読ませる」小論文にするためには
以上の流れを参考にして、アレンジしていけば、小論文は書けるようになります。
そして論文の内容を濃いものにするためには、日ごろからニュースや新聞の報道に興味を持ち、「対立している立場」や「双方の利益」を考えるクセをつけていくことが重要です (最近の例として、TPP問題ではどのような利益と利益が対立しているかなど)。この「対立利益」を意識することでより深い意見が展開できます。
また、このことを習慣づけると、ディスカッションにも役に立ちます。ディスカッションの方向性を明確にするために、相手の考えを理解し、論点を整理することは大切なのです。
議論の場において「一方の考えが100%正しい」ということはありえません。
自分の立場を決める際にも、反対利益にも配慮したうえで考えると、より良い選択ができます。ぜひ普段から「対立利益を考えるクセ」をつけていくことをおすすめします。小論文の内容にも深みと幅がでてくること間違いなしですよ!
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