お子さんが学校へ登校しなくなると、卒業後の進路や将来が不安になる親御さんも多いかと思います。この記事では、不登校に関する知見を深めるために、中学生の不登校生徒がどれくらい全国にいるのか、なぜ不登校になってしまうのか?データを元に解説していきます。
不登校とはどのような子?
そもそも不登校とは、どのような子どもが当てはまるのでしょうか?
文部科学省は不登校について次のように定義しています。
病気や経済的な理由で登校できない場合や、欠席日数が年間30日以上ではない生徒は文部科学省の定義では不登校にあてはまりません。
不登校の中学生はどれくらい?(令和3年版最新データ)
令和3年度の文部科学省による全国の中学生の人数や、不登校生徒の最新データは以下となります。
全国の中学生(国公私立すべてを含む)の人数と不登校生徒の人数
不登校の中学生は全国平均で5.0%となっています。
20人に1人がさまざまな原因により、お子さんが学校に行けない状況ということに
なります。
中学3年間の不登校の割合
つぎに学年ごとの不登校生徒の人数が以下となります。
数値をみると、中学1年生から中学2年生にかけて約1.3倍程不登校の子どもが増えていることがわかります。
中学1年生は、入学直後のギャップや徐々に勉強内容が難しくなり授業についていけなくなるなど、さまざまな原因により通学が嫌になる子どもが増えていく傾向があります。
全国における小学生・中学生・高校生の不登校人数
参考までに全国の小学生・中学生・高校生の不登校の人数は以下のデータとなっています。
小学生・高校生の不登校の人数と比較すると、中学生の不登校の生徒が圧倒的に多いことがわかります。
不登校の中学生は毎年増加している
中学生の不登校生徒は年々増加しており、令和元年から見比べると右肩上がりに増えています。
不登校になる原因やきっかけは?
なぜ不登校になったのか?
不登校の中学生のお子さんに対して、不安を抱えている親御さんが一番気になる点はここだと思います。
下記のグラフは文部科学省が出した最新データ(令和3年度)の不登校になった要因として最も多いものになります。
不登校になる要因は「その他・選択肢に該当なし」の項目を除き、大きく3つに分かれます。
最も多いのが「本人に係る要因」、次に「学校に係る要因」、「家庭に係る要因」となっています。さらに細かくみた不登校の要因は下記となり、「無気力・不安」という回答が49.7%と本人が原因となるケースが最も多いという結果でした。
要因ごとによくある例をみていきましょう。
本人に係る要因
①無気力、不安、自分の進路に悩んでいる
不登校になる原因として最も多いのが無気力・不安です。
中学生になると、自分の進路や将来について考え始めるお子さんも多いです。お子さん自身や親御さんとの会話を通じて、将来の目標がしっかり決まっていれば問題ありませんが、明確に決まっているお子さんの方が少ないと思います。
周りの友人が進路や将来について目標があるのに、自分だけが決まっていないと心配になってしまい、不登校につながってしまうことがあります。
また中学受験を終えて安心してしまい、勉強への熱意が低下し不登校につながるケースもあるようです。
心配だと思いますが、無理に学校へ行かせると、お子さんがどんどん追い込まれてしまいます。本人から一歩踏み出すきっかけを作る、お子さんの気持ちを第一に考えて寄り添うことが大切です。
②生活リズムの乱れ、あそび、非行
夜更かしが原因で、朝起きることが日増しに億劫になり、不登校につながってしまう場合があります。
親御さんが子どもに強く言えない状況だったり、注意しても直らず諦めて放置してしまうと生活リズムがどんどん崩れてしまいます。
むやみに叱るのではなく、なぜダメなのか、いまの生活を続けるとどうなるのか、しっかり子どもに理解させて伝えることが大切です。
しかし、言い過ぎてしまうのもよくありません。
叱りすぎが原因でますます反抗的になったり、子どもの自信の喪失や何らかのストレスが重なって不登校につながるケースもあります。
学校や家庭でのささいな事でも、子どもをほめて自己肯定感を育てていくことも大切です。
むずかしいですが「ダメなことは理由も含めて注意する」、「ささいな事でもほめて自己肯定感を上げる」の2つを意識して、子どもとの距離を上手にとっていきましょう。
学校に係る原因
①友達との付き合い方に悩んでいる
中学生になると、友達付き合い方など人間関係が複雑化してストレスがたまり、環境にうまく溶け込めず登校が嫌になる場合があります。
中学生は、小学生の頃と比べると学校にいる時間が長くなるため、そのぶん仲の良い友達と一緒にいる時間が多くなります。初めはグループ同士の仲が良かったのに、突然仲間外れにされ、自分の居場所がなくなると、不登校へのきっかけとなります。
②コンプレックスを抱えている
中学生頃から思春期を迎え、顔や体型、髪型など容姿を気にするようになります。
親御さんからすると大したことではないと感じるかもしれませんが、お子さん自身はつらい思いをしているかもしれません。
学校には悪気なく思ったことをストレートに伝えてしまう子もいるかもしれません。些細なことから自分のコンプレックスを刺激されると、プライドが傷ついてしまいます。
③勉強についていけない
中学生になると勉強内容が難しくなり、授業についていけなくなる子が出てきます。
授業の進め方として、科目によっては基礎から始まり徐々に難易度が上がっていくことが多いです。
一度内容がわからなくなり出遅れると、どんどん周りと差がついてしまいます。
お子さん自身は頑張っていても、学習のやり方や方向性がズレてしまうと成績が伸び悩み、勉強へのモチベーションが下がってしまいます。お子さんの学習状況をしっかりと把握しておくことが大切です。
また、中学3年生は高校受験をより意識し、自分の成績を気にする時期です。
本人は真剣に勉強していても結果に結びつかないため、将来に不安を感じ、不登校となるケースがあります。
④学校生活にギャップを感じた
中学生になれば自由な学校生活が送れると思っていたのに、想像していた状況と違うと、ギャップを感じてしまいます。例として、「学校の校則が厳しい」「授業内容が難しくてついていけない」「対人関係のストレス」などが
あります。
また中学生になれば「家庭の規則も少しゆるくなる」と期待していたのに、理想と異なり、ギャップを感じてしまうことがあります。理想とのギャップをうまく埋められなかった結果、不登校になってしまう子もいるようです。
家庭に係る要因
①家庭環境が悪く、精神的に疲労疲弊している
両親が離婚していたり夫婦間の仲が悪いと、非行に走ったり、引きこもりになる場合があります。
勉強や友人関係だけでなく、家庭環境によるストレスで不登校につながるお子さんもいます。
一例として、友達の家へあそびに行ったときに家族の仲が良かったり、学校で友達から家族と出掛けた話しを聞きくと、自分の家庭と周りの家庭と比較してしまいます。
家族間の関係は各家庭それぞれですが、「周りの家庭と自分の家庭との違い」をうまく飲み込めないでいると、ストレスを抱えてしまうことがあります。
②コロナ禍による生活リズムの乱れ
近年ではコロナ禍をきっかけとして、生活環境の変化により生活リズムが崩れたことが原因で、登校するのが億劫になってしまうことも1つの要因として考えられています。
まとめ
不登校の要因として様々な回答が出ていますが、子どもによって状況は異なり、お子さん自身にもはっきりとした理由がわかっていないケースもあります。
あくまで結果として上記のような回答が多かった、というだけです。
お子さんが不登校になっても無理に学校へ行かせようとせず、要因を取り除くこと、適切な支援をすることが大切です。中学生のお子さんが不登校になった際の進路について不安に感じている方も多いと思います。
以下の記事でまとめているので、興味のある方は参考にしてみてください。
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