海外赴任が決まり、海外への移住を決断されるご家庭もあります。家族揃って移住をするとなると、特に気になるのは子どもの教育問題です。
この記事では、年齢別の言語発達を観点に学校の選び方、また日本語補習校についてもご紹介します。
「日本人学校」「現地校」「インターナショナルスクール」の3つ
海外で教育を受けさせる場合は、日本と同様に学校に通わせることになります。学校の選択肢として「現地校」「日本人学校」「インターナショナルスクール」があります。
現地校
現地校とは、その国・地域にある学校で、所在国公認の教育システムで教育が行われます。現地に住んでいる子供が通っている学校なので「現地の言葉」で学ぶ学校です。
現地の子供と同様の教育を受け、その国の教育システムでの卒業(在籍)資格を得ることができます。
こちらの記事で現地校についてまとめていますので、併せてご覧ください。
▷【海外赴任・海外駐在】子どもの学校に海外現地校(ローカルスクール)ってどう?|第二の母国ができるかも!
日本人学校
日本人学校とは、日本国外(海外)に住む日本子女(日本国籍の子ども)を対象に、日本の学習指導要領に沿った教育を行う学校です。
日本人学校は、日本国内の小学校・中学校と同様の教育を確保する目的で設立されており、日本の検定教科書を使用するので、日本で学ぶのと変わらない教育が受けられ、文科省に認定されて設立されています。
日本と同等の教育を受けるため、卒業(在籍)をすれば日本国内の学校と同様の卒業(在籍)資格を得る事ができます。
こちらの記事で日本人学校について紹介していますので、併せてご覧ください。
▷【海外赴任・海外駐在】子どもの学校はやっぱり日本人学校?|メリットやデメリットについても
インターナショナルスクール
インターナショナルスクールとは、所在国の公認システムではない『他国の教育システム』で学ぶことができる、現地に在住するさまざまな外国人のための学校です。
国籍を問わず生徒を受け入れる学校が多いため、多国籍な文化交流・学校生活ができます。
海外のインターナショナルスクールで教育を受け、日本義務教育年齢で帰国すればその年齢相当の学年に編入・進学することもできます。
こちらの記事でインターナショナルスクールについてまとめておりますので、併せてご覧ください。
▷【海外赴任・海外駐在】子どもの学校どうする?インターナショナルスクール(インター校)という選択肢
学校選ぶポイントについて
学校を選ぶポイントは『学校の特性』や『使用言語』『コスト』『予定滞在期間』、また『帰国予定』などについても総合的に判断し、どの学校にするのかを選ばなければなりません。
こちらの記事で選ぶポイントについてご紹介していますので、併せてご覧ください。
▷【海外赴任・駐在】子どもの学校選びのポイントをご紹介|言語や滞在期間など総合的に判断を!
学年(年齢)ごとの学校の選び方
先述のように学校を選ぶポイントはありますが、子どもの学年(年齢)によっても選び方が異なります。
ここから『言語の発達』や『進学』などを考慮した学校の選び方をご紹介します。
小学校 低学年~中学年
小学生の低学年は言語を確立させる時期です。生活言語(生活に必要な言葉)は約2年で覚えられますが、物事を考える言葉や抽象的な話題について考えることができる『学習言語』を覚えるには、約5年かかります。
小学年〜中学年の間に学習言語の基礎を作らず過ごすと、抽象的な内容を考えることができるようにはならず、母語も第二言語も話せるが、抽象的に考えることができない『セミリンガル・ダブルリミテッド』に陥る危険があります。
実際に現地校やインターナショナルスクールに通って現地語(英語)を流暢に話せるように見えても、文章を読んで理解したり、論理的に考えることができないということもよくあるケースです。
そのためには、『日本語』または『現地語(英語)』のどちらかで言語の基礎を作らなければなりません。
小学年から中学年の間であれば、日本語を覚えているため、より日本語能力を身につけさせたいと考える場合は『日本人学校』がおすすめです。
ただし、小学年〜中学年から『現地校』や『インターナショナルスクール』に通う場合は、日本語を少しずつ忘れていくことも考えられるため、家庭内で日本語の本を読んだり、日本語補修校へ通わせるなど日本語教育を受けさせる必要が出てきます。
一方で、現地語(英語)を母国語として思考能力を身につけさせるという方法もあります。
小学校低学年から中学年であれば、子どもの性格によりますが、どんな環境にも慣れやすいです。どんな学校に入るにしても言語面のケアが必要です。
小学校 高学年
小学校高学年は、『思春期』に差しかかる時期です。周りとの違いに気が付いたり、周りと比較し劣等感を感じたり精神的に敏感になることがあります。また、この時期は言語の能力も向上し、自分の言葉を確立して思考力も深まる時期です。そのため、小学校高学年の時期に言葉がわからないとストレスを感じることもあります。
一方で日本語もある程度理解している時期なので、『現地校』や『インターナショナルスクール』に通い、現地語(英語)に触れながらも家庭で日本語を勉強し、どちらの言語も身につけていくことも良いかもしれません。
一般的に思春期あたりまでに第二言語に触れれば、母語に近い言語能力を獲得できると言われています。また、高学園になると中学受験のことも考えるご家庭もあります。
帰国子女として受験したいと考える場合は、学校によって「◯年以上の現地に滞在」や「現地校に通っていた」など条件がある場合もあります。
帰国子女として受験しない場合は、日本の学校に通う子供と同様の環境(学力レベルなど)で受験する必要があります。そのあたりも考慮しながら学校選びを進める必要があります。
中学校
中学生になると、思考も確立され自分で物事を判断できるようになります。親からの強制も嫌う時期なので、学校選びの際は選択肢を提示して、将来に向けて一緒に考えながら決めることが大切です。
ただし、中学校からの『現地校』『インターナショナルスクール』へ通うことは、現地でのコミュニケーションや言語理解力などを身につけさせなければ、現地での授業についていくのが難しいことも考えられます。そのため、事前準備や子供の適応能力なども考慮して学校選びをする必要があります。
ただし、海外で中学校まで通い、高校から日本の学校に通う場合は『卒業時期』に注意が必要です。日本と海外では学年度の始まりが異なる(日本は4月、海外は9月など)場合があるためです。
例えば、アメリカでは新学年が9月です。この場合、日本の高校に入学する年齢の4月の時点では、まだアメリカで中学を卒業していないことになってしまい、日本の高校に入学できないことになってしまいます。そのため、早めに帰国して日本の中学で卒業するか、日本人学校に編入して卒業するなどの工夫が必要になります。
もちろん現地学校を卒業し、帰国後に日本の高校に編入することもできますが、9月入学の枠を設けている高校は少ないので、学校選びの際に注意が必要です。
高校
高校生になったら、もう大人です。一緒に海外へ移るのかを本人とよく相談して決めるのが大切です。多くの国と地域では『日本人学校』は『中学部』までしかないので、選択肢は『現地校』または『インターナショナルスクール』となります。
※一部の国と地域では日本人学校の高等部があります(慶応義塾ニューヨーク学院や早稲田渋谷シンガポール校など、ほぼ寮生活)
日本語補習校とは
どうしても『現地校』や『インターナショナルスクール』に通わせる場合、どうしても日本語に触れる機会が少なくなるため、『現地校』や『インターナショナルスクール』と併せて『日本語補習校』に通わせるご家庭もあります。
日本語補習校
『日本語補習校』とは、『現地校』や『インターナショナルスクール』に通う子供向けに、週末や放課後に放課後に日本語を使った授業をする学校です。学校に通うのは日本人で、授業も日本語で行われます。
日本の教育要綱に沿った補習を受けられ、日本語や日本に関する知識を教えてくれるので、 帰国後の日常生活や学校でスムーズに適応しやすくなります。
日本人学校と同様に日本からの支援を受けており、学校の運営は主に現地の日本人会や保護者などが中心となっている私立の学校です。「学校」ですが、通学や卒業をしても公の資格などはありません。入学はいつでもできますが、日本人学校と同様に入学資格は日本人会の会員(日本国籍保有者)という場合がほとんどです。
勉強以外でも、日本の文化的なイベント(餅つき・七夕など)を催す学校もあり、日本の文化に触れることができます。同年代の日本人と一緒に日本語や日本文化を学べる環境なので、子どもたちの拠り所となることもあります。
まとめ
今回は、学年別の学校の選び方についてご紹介しました。海外での学校選びは慎重になりますが、学校に通うのは子どもです。子どもの意見を聞きながら学校選びをすることが大切です。
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