グローバル化によって、海外赴任をしなければならないこともあります。自らのキャリアアップや人生経験を積みたいという理由で、積極的に海外でチャレンジをしたい方も多いかもしれません。
ただ、お子さまがいる場合、現地での教育・学校について悩みますよね。この記事では、海外の『現地校』についてご紹介します。
海外赴任時の学校選びについて
海外駐在(在住)時に子どもに通わせる学校の選択肢は「日本人学校」「現地校」「インターナショナルスクール」です。
日本と同様のカリキュラムで学ぶ「日本人学校」、現地のカリキュラムで学ぶ「現地校」、現地ではない他国の教育システムで学ぶ「インターナショナルスクール」があります。本記事では、「現地校」についてご紹介しています。
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学校選ぶポイントについて
学校を選ぶポイントは『学校の特性』や『使用言語』『コスト』『予定滞在期間』また『帰国予定』などについても総合的に判断し、どの学校にするのかを選ばなければなりません。
こちらの記事で選ぶポイントについてご紹介していますので、合わせてご覧ください。
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現地校とは
現地校とは、その国や地域にある学校で所在国公認の教育システム(カリキュラム)や言語で学ぶ学校で、現地国の子どもが通っている学校です。公立校または私立校です。
現地校は『ローカル校』と言われており、現地独自の文化や教育に触れることができます。
現地の先生が現地の子どもに教育する場所なので、言語・考え方やルールなどもその国のものがベースとなります。そのため、現地校へ入った場合は、お子さまがその学校で唯一の外国人として扱われるということもあります。
学校の運営は、公立や私立など、その国の法令によって運営されており、卒業(在籍)すれば国の教育システムでの資格が得られます。
公立の学校には学区があり、公立現地校へ通う場合は、どこに住んでいるかによって通える学校が変わります。国によっては、義務教育なので外国人でも無料で入学して授業を受けられることもできたり、公的な教育補助を受けられることもあります。
私立学校の場合は、学校によって入学資格も違うので、詳細を調べておく必要があります。
注意しておきたいこと
まず注意しておく必要があるのは、英語圏では英語での学校生活が行われますが、非英語圏の場合は、そこの現地語での学校生活となります。
そのため、非英語圏に在住(駐在)する場合は、現地校に通わせず、インターナショナルスクールに通わせる方もいます。
現地語ができない場合、学校からの連絡や親同士のコミュニケーションなども難しいため、現地校に通わせることは厳しいといえます。しかし、現地語を子どもに習得させたい場合は最適です。その国の教育を受けて生活を送ることになるため、文化や習慣を学ぶこともできます。
現地校は、現地の言葉「を」学ぶところではなく、現地の言葉「で」学ぶということを認識しておかなければなりません。
学校の雰囲気
現地校(特に英国の現地校)は校長の権限が強く、校長によって学校の雰囲気も変わります。学校の雰囲気を知りたい場合は、事前に見学をしても良いかもしれません。
現地校のほとんどの生徒が現地国籍の子どもなので、外国人が珍しがられるケースもあります。その物珍しさから、世話を焼いてくれる子がいたりなども出てくるケースもあります。
公立校の場合は、日本と同様に同級生が近所に住んでいるので、放課後や週末に同級生の家へ行くことや、遊びに来ることなどのお友達同士の交流も盛んです。
地域によって雰囲気は異なる
公立学校は、その地域の子どもたちが集まるので自然と住んでいる地域の治安によって、学校のレベルも決まります。
そのため、裕福な家庭が多く住む地域は、学校の教育環境や教育レベルが高いというケースもあります。また、日本人の生徒が多いエリアの現地校では、学内に日本人PTAもあることもあります。
現地校に入るためには
公立校に学区がある場合は、居住場所に従って入学許可がおります。ただし、現地語を話せない場合や宗教色が強い子を、受け入れない私立学校もあります。
メリット
現地語が習得できる
現地校に通うメリットは、現地語を習得しやすいことです。
現地の環境で現地の子どもたちと日常生活をするので、自然と現地語を習得しやすい環境となります。英語圏でも非英語圏でも、日本語以外の言語を習得できるのは大きなメリットだと感じられます。
第二の母国ができる
現地の文化や考え方の中で生活を送るので、自然と現地の文化や風習などが身につくため、人によってはその国が「第二の母国」ともいえるようになります。
現地の友達ができる
現地校に通うことは、ローカルなつながりが強くなるため、現地の友達ができやすいです。日本ではない海外で友達ができるというのは大きな財産となります。
コストがかかりにくい
現地校は、基本的に一般家庭の子どもたちが通う学校なので、費用は安めです。学校によっては無料の学校もあります。
費用が安い順から、現地校<日本人学校<インター校 となっており、現地校が最も費用が安く、負担を抑えられます。
デメリット
子ども・保護者(親)の負担が大きい
日本を離れること自体が負担ですが、現地校での生活は子どもも親も負担に感じることがあります。
全てのコミュニケーションが現地語となり、場所によっては日本人の数が少なく頼れる環境にないということもあるため、現地語に慣れていなかったり、文化や風習などに慣れ親しんでいない場合は負担に感じます。
子どもに対しては、積極的なケアが大切になってきます。
言語によるストレスを感じる・慣れるまでに時間がかかる
事前に語学学習をするとしても、少なからず言語によるストレスを感じます。
友達も先生も近所の方も、ほとんど日本語は通じません。そのためコミュニケーションがうまく取れなかったり、伝えたいことが上手に伝わらないなど「歯がゆさ」をストレスに感じることもあります。
また、現地校へ通いはじめた頃は、授業が理解できないということもあります。
時間や現地生活の経験を積むことで次第にストレスは無くなっていきますが、初めの頃は強烈なストレスを感じる場合があります。
国によって教育レベルが異なる
現地校は、その所在国の管轄の学校となるため、『所在国の教育レベル=現地校の教育レベル』となります。
日本の教育レベルは比較的安定していると言われていますが、国によっては日本より下だと感じることもあるため、入学前に見極めが必要です。また、通学地域の治安についてもしっかりと調査する必要があります。
いじめられるまたはトラブルが起こる可能性
現地に日本人が少ない場合は物珍しく思われることもありますし、言葉が話せないことで揶揄われたり(からかわれたり)無視されたりするケースもあります。
また、海外は日本とは違う文化の部分もあるので、そのギャップによる友達とのトラブルも起こりえます。いじめやトラブルはどんな国でも起こりますが、特に海外でのいじめやトラブルについては不安があります。
日本語力の低下
現地校に通うと、家庭以外ではどうしても日本語と接する機会が少なくなり、日本語を使わなくなってしまうことから、日本語能力が落ちてきてしまうケースもあります。
そのため、家庭内での日本語教育や日本語補修校に通うなどのカバーが必要になる場合もあります。
帰国後についていけない
当たり前ですが、海外の教育課程と日本の教育課程は異なるため、帰国後に日本の授業についていけないこともあります。
帰国予定や帰国後の進路についても、予め考えておく必要があります。
事前の準備が大切
現地校に通う場合はしっかりとした『事前準備』が大切です。
言語はもちろんのこと、現地の文化や風習などについてもしっかりと調査をしておき、事前に子どもに伝えておくなど、できるだけ不安を解消しておくべきです。
現地での挨拶や数の数え方などはもちろんですが、よく使う感情表現や簡単な単語、困ったときに先生や友達に助けを求められるようなフレーズを覚えておくなど、現地での生活をイメージし、緊急時の準備をしてみることも大切です。
ESLについて
ESLとは「English as a Second Language」の略で、英語を母国語としない子どものための英語クラスのことです。英語圏、特に北米の現地校にはESLがある学校が多いので、可能ならESLのある学校に入ることができればベターです。
授業内容は様々な形があり、テキストを使わないところなどもあります。また、ESLの時間数や内容、レベルなどの細かい設定は地域や学校によって様々です。
ただし、ESLの経費は地域住民または各地域の教育委員会が負担しているため、ESLを受けるためには条件が設けられている場合もあります。
こんな人にはおすすめ
現地校はその国の一般の子どもと同様に生活するため、現地での言語や文化・風習がしっかりと身につきます。現地に馴染みたい、またはコスト面での心配がある場合は現地校がおすすめです。
滞在期間が長すぎると
滞在期間が長すぎると「日本」が異国となります。そのため帰国の際に苦労する場合もあります。そのため、ご家庭で日本語や日本文化などについて教育しておくことや、帰国後のイメージをした生活をしておくことも大切です。
まとめ
今回は現地校についてご紹介しました。現地校での生活は、日本人だからといったサポートはあまり多くないかもしれません。ですが、現地校ならではの素晴らしい側面もあります。子どもとの相性や保護者(親)として通わせられるかなどを考慮して学校を選ぶことが大切です。
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