一般選抜【時期:3月中旬】
大阪府の一般選抜では、大阪府特有の特徴があります。関西の中でも1番複雑だと言われる大阪府の公立高校入試制度ですが、受験生にとっても知っておいたほうが良い情報がたくさんあるので一つずつ選抜方法のポイントを整理していきましょう♪
・学力検査/英語・国語・数学・理科・社会(合計450点満点)
ポイントその①
一般選抜の学力検査では英語・国語・数学の入試問題を、大阪府の教育委員会が作成したA問題(基礎レベル)・B問題(標準レベル)・C問題(発展問題)から各高校が選択したものが出題されます。まずは志望校で出題される問題のレベルを確認し、レベルに応じた勉強をしていくことが必要となります。(ちなみに理科、社会は全学校共通問題です。)
<各科目の配点と検査時間>
教科 | 国語 | 数学 | 英語 | |||
種類 | 検査時間 | 配点 | 検査時間 | 配点 | 検査時間 | 配点 |
A問題 | 50分 | 90点 | 50分 | 90点 | 55分 | 90点 |
【基礎的問題】 | ||||||
B問題 | 50分 | 90点 | 50分 | 90点 | 55分 | 90点 |
【標準問題】 | ||||||
C問題 | 50分 | 90点 | 60分 | 90点 | 55分 | 90点 |
【発展的問題】 |
教科 | 理科 | 社会 | ||
種類 | 検査時間 | 配点 | 検査時間 | 配点 |
共通問題 | 40分 | 90点 | 40分 | 90点 |
40分 | 90点 | 40分 | 90点 |
ポイントその②
大阪府の教育委員会は「読む・聞く・書く・話す」の4技能をバランスよく評価するため、英語のC問題の出題形式や出題方法の変更を行いました。
1.「聞く・書く」力をより試す問題に(50%以上を占める)
旧来の府立高校の英語の学力検査問題では、全体の配点に比して、「聞く(リスニング)」は約20%を、「書く(ライティング)」(注1)は約8%をそれぞれ占めるにとどまっていました。変更後は、「聞く(リスニング)」問題への配点を約33%(3分の1)に、「書く(ライティング)」問題への配点を約20%(5分の1)にし、両者を合わせて50%を超える配分へと変更となりました。
※ここでの「書く(ライティング)」は自分の考えを英語でまとめるような思考力を問うライティング問題を意味し、機械的な和文英訳問題は除きます。
2.より高度な「読む」力を求める(1分間に読む語数が、2.7倍になります。)
「聞く」「書く」力を試す問題の配点比率が上昇すると「読む(リーディング)」力を試す問題の比率は下がることとなる反面、旧来の試験と比較し、英文の量は選択肢を含め大きく増加しました。昨年度を例にすると1分間に読まなくてはならない語数は35語であったのに対し、今回の問題では96語となり、より長い文章をスピード感をもって理解する力を問われることとなります。
3.問題文はすべて英語
指示文を含め、問題文はすべて英語で構成されることになりました。(注釈語のみに日本語使用)。
4.予め単語集を配布
中学校で使用されている検定教科書にて使用されている単語を中心に、府教委が編纂した単語集を予め市町村教育委員会に配布されます。
⇒英単語は「大阪版中学校で学ぶ英単語集」の中からの出題となります。
5.英語に関する資格(TOIFL iBT・IELT、英検)のスコアを活用
英語に関する資格(TOIFL iBT・IELT、英検)のスコアを活用できるのも学力検査の特徴です。入試の点数と、スコアに対応する読み替え率から換算した点数を比較し高いほうの点数を学力検査の成績として評価を行います。
<評価対象となる英語に関する検定と入試での得点>
各種英語に関する検定 | 読み替え率 | 一般入試得点 | ||
TOEFL iBT | IELTS | 英検 | ||
60~120点 | 6.0~9.0 | 準1級 | 100% | 90点 |
50~59点 | 5.5 | 90% | 81点 | |
40~49点 | 5.0 | 2級 | 80% | 72点 |
・内申点(調査書)
内申点の評価方法は、「絶対評価」と呼ばれる方法で行います。絶対評価とは一言で言えば「良い点数を取れば高い評価」という意味です。当たり前のようですが平成27年度入試までは、その前に“周りと比べて”という言葉が入りました。つまり「“周りと比べて”良い点数を取れば高い評価」でした。(相対評価といいます)。
ポイントその③
大阪府の公立高校一般入試では下記のような方法で内申点を計算します♪
1年生:9教科×5段階×2=90点
2年生:9教科×5段階×2=90点 比率⇒中1:中2:中3=「1:1:3」
3年生:9教科×5段階×6=270点
合計450点満点
大阪府の一般入試では中学校3年生での内申点(通知表の評価)が1番高配点なのが特徴となります。だからと言って中学校3年生になってから勉強を始めるのは遅く、中学校1年生の時から継続的に家庭学習を行い、勉強習慣をつけておくことが内申点獲得には不可欠です。
ポイントその④
学力検査(入試本番)と内申点がどのような比率なのかは、高校によって異なるのも大阪府の入試の特徴の1つです。学力検査:内申点は「3:7」「4:6」「5:5」「6:4」「7:3」のいずれかです。(ちなみに特別選抜でも同じ方法で評価を行います。)
<学力検査:内申点>
タイプ | 偏差値 | 「学力検査:内申点」 | 計算方法 |
Ⅰ | 高 | 「7:3」(630:270) | 「450×1.4」:「450×0.6」 |
Ⅱ | 「6:4」(540:360) | 「450×1.2」:「450×0.8」 | |
Ⅲ | 中 | 「5:5」(450:450) | 「450」:「450」 |
Ⅳ | 「4:6」(360:540) | 「450×0.8」:「450×1.2」 | |
Ⅴ | 低 | 「3:7」(270:630) | 「450×0.6」:「450×1.4」 |
・チャレンジテスト
ポイントその⑤
大阪府では、中学校の定期テストの難易度によって、絶対評価による内申点が不当に低くなってしまわないようにする措置として、チャレンジテストを実施します。
A君 | B君 | |
五ツ木偏差値 | 偏差値45 | 偏差値50 |
中学校 | 市内のゆっくりした中学校 | 市内で1番厳しい中学校 |
定期テストの難しさ | 比較的簡単 | かなり難しい |
定期テストの点数 | 80点前後 | 50点前後 |
中学校による絶対評価 | 4 | 3…? |
他中学より難しい定期テストを受験しているB君はこのままでは正当な学力が評価されません。しかし、大阪府共通問題であるチャレンジテストを受験することで、B君の内申点は「4」へと補正される可能性が大いにあります。
定期テストの平均点などから、自身の現状を冷静に分析して、正当な学力が評価されていないようであればチャレンジテストの受験をお勧めします!
ただし、チャレンジテストにおける内申点の判断基準は正確には決められていません。 前身である大阪市統一テストの基準を目安にすると良いでしょう。
以下がチャレンジテストの前身である大阪市統一テストの基準になります。
<大阪市統一テスト(チャレンジテストの前身)での内申点判断基準>
・上位6%・・・・必ず「5」
・上位18%・・・必ず「4以上」
・上位39%・・・必ず「3以上」
<チャレンジテスト概要> 計画的に復習をしておきましょう!
・実施時期
中学1年生:1月頃
中学2年生/中学3年生:6月頃
・テスト教科
・中学1年生:英語・数学・国語
・中学2年生/中学3年生:英語・数学・理科・社会・国語
・テスト時間
1教科あたり45分
・出題形式
選択式・短答式・記述式のいずれかで出題
・自己申告書
大阪府では、教育委員会が提示したテーマに対してあらかじめ作成し出願時に提出する、文書があります。「各高校が求める生徒像」を確認し、それにいかに自分がマッチしているかを意識しながら、約1400字前後で所定のフォーマットに文章を作成することになります。
自己申告書はボーダーラインの判定で使用されることになります。
※ボーダーライン:入試本番の点数と内申点との合計点数が募集定員を100%とした時、上位90%から110%のこと。
ポイントその⑥
自己申告書は、特に「自分の現状の学力では合格するかどうかぎりぎりのところだな・・」という学校を受験する生徒にはとても大切な書類になるので、学校の先生に何回も添削してもらいながら修正をかけていく等、内容の精度を上げていくことがとても大切になります。
・合格者選考過程
①募集定員の90%:総合点の上位者から合格させる。
②募集定員の10%以内:合否ボーダーライン上の上下10%(計20%)の中で「自己申告書」・「活動/行動の記録」の内容が高校の求める生徒像に合えば、総合点に関わらず合格させる
③募集定員の残り:①、⓶の選考に漏れた受験者のうち総合点の上位者から合格させる
総合点:一般選抜では「学力検査の成績」+「調査書の評定」が基本になります!
いかがでしたでしょうか。関西でも1番複雑な大阪府の公立高校一般選抜入試ですが、中学生が勉強を進めていくうえで知っておくべき情報がたくさんあったと思います。しっかりと入試制度を理解して今後の勉強生活に役立ててください!
コメント